自己破産手続中(準備中)の禁止行為

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新たにお金を借りる

自己破産することが決まっているのに、新たにお金を借りる行為は、最初から返済するつもりがなくお金を借りたことになるので詐欺行為に該当します。

現金を借りるキャッシングだけではなく、クレジットカードの利用、給与の前借り、後払いサービスの利用などが該当します。当然ですが、ヤミ金やファクタリング業者から借りることも許されません。

ギャンブル・浪費

自己破産で借金を免除してもらおうとしているのですから、ギャンブル・浪費は許されません。借金の原因がギャンブルや浪費ではなかったとしても、ギャンブル・浪費に使うお金があるなら、自己破産せずに返済するべきと言えます。

現在の運用では、借金の原因がギャンブル・浪費であっても、ほとんど免責されますが、自己破産を決断した後にこのような行為があると免責が許可されない可能性も出てきます。

パチンコ・スロット・競馬・競輪・競艇・宝くじなどはギャンブルに該当し、FX・仮想通貨などの投資もギャンブルに準ずる射幸行為とみなされます。

特定の借入先にだけ支払う

特定の借入先にだけ支払う行為を偏頗弁済(へんぱべんさい)と呼んでいます。債権者間の公平を害するという理由で禁止されています。

発覚した場合には、免責不許可の可能性が出てくるほか、支払先に連絡して回収したり、支払った分の補填を求められたりする可能性があります。

他人の借金を返済する

自己破産は、自己の債務を免除してもらうための手続ですから、他人の借金を支払うことは許されません(そんなお金があるのなら、自己破産せずに、自分の借金を返済してくださいということです。)。

典型的なのは、夫婦で配偶者の借金を支払っている場合です。配偶者が、自身の収入から払う分には良いのですが、専業主婦などで収入がない場合には問題になります。このような場合には、夫婦同時に自己破産を決断する必要があるでしょう。

弁護士に依頼して返済を止めると家計に余裕が出てきますが、だからといって、他人の借金を返済することが許される立場ではありませんので、誤解しないように注意しましょう。

資産を隠す

資産を隠して借金だけ免除してもらおうとする行為は、破産制度の悪用ですから、裁判所は非常に厳しい態度を取ります。

現在、自己破産申立てをすれば、ほとんどの人が免責を許可される運用になっていますが、資産隠しが発覚した場合には、さすがに免責不許可になる可能性が高いと言えます。

資産隠しについては、破産詐欺罪(破産法256条1項1号)に該当し、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金という厳しい刑罰が定められています。

虚偽の説明をする

破産者には説明義務が課されており、裁判所や破産管財人からの質問には誠実に回答する義務があります。

裁判所や破産管財人に虚偽の説明をすると、その内容によっては、免責不許可になることがあります。

また、説明拒否・虚偽説明にも刑罰(破産法268条1項)が定められており、違反すると、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科される可能性があります。

虚偽説明も、破産制度に対する不誠実な態度として、裁判所は厳しい態度を取る可能性が高いので、十分注意が必要です。

違反したかも?と思ったら

一番多いのは、ギャンブル依存症の人が、弁護士に依頼した後、ギャンブルをしてしまうケースです。このケースは、早めに弁護士に相談してください。依頼後のギャンブルが発覚すると、すぐ辞任する弁護士も存在しますが、当事務所では、ギャンブルは自分の意思だけでは簡単に辞められないことを理解しておりますので、取り返しが付かないほど支出が大きくなる前にご相談いただければと存じます。

また、未申告の財産に気付いた場合や、弁護士への説明が不正確だった場合、その他不都合な事実が存在する場合も、早めに訂正していただければ全く問題ありません。裁判所に自己破産を申し立てた後になって伏せていた事実が発覚する方が危険なので、早めにご相談いただければと思います。

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