自己破産より個人再生が良い?

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心情的な理由

心情的な理由で自己破産ではなく個人再生を希望される方がいます。

自己破産という響きが絶望的な印象を与えるからでしょうか。

しかし、自己破産も、個人再生も、裁判所を通して強制的に債務を免除するという点では同じものです。

自己破産は全部免除、個人再生は一部免除と言えば分かりやすいでしょう。

そのため、自己破産も、個人再生も、デメリットはほとんど変わりません。

  • 信用情報機関の登録期間
  • 全債務を対象にしなければならない
  • 官報公告される

唯一異なるのは、個人再生では、住宅ローンを組んでいる場合でも住宅を残すことができる(住宅資金特別条項)という点です。

したがって、住宅を残したいといった理由がない限り、個人再生を選択するメリットは乏しいと言えます。

自己破産より準備が大変

個人再生では、再生計画の履行可能性が審査されるので、手続が終了するまでの間、正確な家計表を作り続ける必要があります。しかも、履行できるだけの十分な家計余剰を出す必要があります。

同居の家族がいる場合、家計全体の収支を把握するのは想像以上に大変で、家族一丸となった努力が必要になることもあります。特に、お子さんがいる場合には、習い事の費用など、簡単に削れない部分もあり、家計改善に苦労することが多いと言えます。

単に心情的な理由で選ぶには負担が大きすぎるので、弁護士としては勧められるものではありません。

免責不許可事由

自己破産には免責不許可事由(ギャンブルや浪費)がありますが、個人再生にはないという違いがあります。

そのため、免責不許可が予想される場合に個人再生を選択するという考え方もあります。

しかし、現在の裁判所の運用では、免責不許可事由があっても、管財人の調査に誠実に協力すれば、裁量免責を受けられることが多いので、この点でも、個人再生を選択するメリットは乏しいと言えます。

少しでも返済したい?

自分で借りたものなので少しでも返済したい。」ということで、個人再生を希望される方もいます。

しかし、貸した方からすれば、返済を受けられるのは5分の1に過ぎないので、必ずしも、破産より再生の方が有り難いというものではありません。債権者側は、3年間入金を管理しなければならず、管理業務の負担を考えれば、破産とさほど変らないという考え方もあります。

結局、支払う方の自己満足という評価もできるので、このような心情的な理由だけで個人再生を選ぶのは、お勧めできません。

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